富士山 2004.2.16 |
数年前から日本のシンボル富士山をゆっくりと眺めてみたいとの思いを持ち、澄んだ大気の1〜2月の好天にと、天気図とにらめっこして連休の当日「16日」の朝に電話で宿の予約をした。
旅は「特に高原とか山は」晴天が第一の条件で、最近のマイカーでの旅は当日予約に徹している。雨降りの高速は走りたくないし高原リゾートなどは出かける意味を無くすからだ。大気が澄んでいれば東名高速を走行中に大きな存在感を持った感動的な富士が突然現れる。
初富士の 仰ぐ高さに 我が身かな 順風
自宅から御殿場まで3時間、高速を降りてR138を北上、山中湖まで20分、写真は湖を一周して対岸の「ままの森見晴台」からの眺め。昔から富士山は版画家や写真家、俳人、詩人の心を捉えて離さず多くの作品を世に残している。
また一般の人々も霊峰として崇め冥土の土産にと訪れた人も多いと聞く。現代でも癌の宣告を受けた知人の「もう一度見たい」という希望で家族に付き添われて出かけたという話を身近に知っている。私も健康なうちに湖畔の温泉に浸かりながら、絵に描きたいと願っていた。
富士の顔 稲妻型に 道刻む 順風
山中湖から河口湖に向かう途中の右手に忍野八海「おしのはっかい」がある。富士山からの湧き水が出る八っつの池で、10メートルの水深池だが底に落ちている硬貨が読み取れるほど透明度が素晴らしい。上右端の写真は河口湖一周した時に北側から撮る。
宿の露天風呂から望遠でアップ。(オリンパスCAMEDEA−C720/8倍ズーム)朝の6時からシャッターチャンスを待っていたが東の空に霞がかかったのか山頂に色がつかず7時半ごろあきらめて写す。上の夕日写真とほぼ同じ角度。最高の写真は撮れなかったが、現物は大きく高く裾野が広く圧倒的存在感があり、写真等では得られない感動を脳裏に刻むことができた。そしてこの感動はは私の絵画やHP制作のエネルギーとなり「元気の元」「健康的に老いる源」を得たことになる。
横山大観は生涯に1200点を越える富士山の絵と「富士を描くことは富士を鏡として自分を描くことだ」という言葉を残している。また片岡球子も個性的な富士山の絵画で知られている画家です。日本人は日本一の富士山をこよなく愛してさまざまな思いで見上げてきた。 残雪や 忍野で眺む 富士高し 順風
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さてお待ちかねの富士山のイメージを壊す地元の姑息な支配人がからむハプニングを紹介します。 |
当日の朝に電話予約したホテルとは別の、近くの良く似た名前のホテルへ我々一行「5名」は間違えてチェックインしたことからこのドラマは始まりました。
悪気がないから堂々と入り「今朝こちらの渡辺さんに電話で予約しました名古屋の堤です。」
フロントにいた2〜3人の係りは丁重ななかにも戸惑いを隠したようなヒソヒソ話をしていて、そのことを感じながらも和洋の5人部屋へ通された。
「お願いしたのは和室二部屋ですが」と私が言うと荷物を持って案内した男性はまた慌てた様子で、「すいません、連絡不行き届きで」と和室二部屋探しに走り前より見晴らしの良い部屋に案内をしてくれ、旅装を解いでいると支配人が挨拶に来て連絡不十分を侘び「よかったらもう一部屋用意しましょうか?」5人に三部屋はいらないのでことわりながら不審に思い私は尋ねた。
「渡辺さんと連絡がとれましたか」「それがまだとれてません」
いまどきに携帯もないのかなと思いつつ、キーをフロントへ預けて全員で河口湖一周に車ででかけた。夕日の富士を撮ったりして一時間後に帰り温泉に入りながら富士を眺めて、さっぱりしたあと部屋でお楽しみの缶ビールを呑み、6時に館内レストランへ出かけて夕食をとる。
ここでもビールを注文して食事をたいらげていい気分に浸っていると7時半ごろボーイが「こちらからお電話をくれとのことですが」と一枚のメモ用紙を置いていった。見ると良く似たホテル名と今朝にかけた見覚えのある電話番号が書かれていた。
不安を覚えながら携帯で電話すると「5人分の料理を用意して待ってましたがどうゆうことですか、当日のキャンセル料は100%ですが50%の3万円は頂きます。(一人12.000円コース)これから頂きにいきますがいいですか!」
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私は酔いも吹っ飛んで相手のホテルに迷惑をかけてしまったことを何より申し訳なく思い素直に侘びて承諾した。しかし直に5人分の脳ミソが活動しだして「何故ここが分かったのか、フロントの応対も悪い、連絡つかない訳がない。3万円払うよりここの食事代を払って移動したほうがよい。食事代も払う必要はない、名古屋から5羽の鴨が飛び込んだと分かっていて泊めたんだ、道理でこちらの品定めするような対応だった。支配人を呼べ」
すると待っていたかのように呼ばれた支配人が現れていわく「実はたまにこのような間違いがありまして、私どものお客さまがあちらへいかれたこともあり、食事代だけで済むように私が話をつけに出かけてきます。」
すると仲間たちは「食事代で済むのなら堤さん払おう」と、落ち込んでいる幹事の私を慰めるように言った。
しかし一人だけ酒の飲めない素面の妻が異論を唱えた。
「私たちは勝手にここに上がりこんで食事をしているわけではない、あなた方が案内をして予約されていないのに食事を出した。その行為に責任があるのでは」と言うと、支配人は簡単に前言を取り消し「お客様がたにはご負担をおかけしませんから、今夜はごゆっくりとお泊まり下さい。」と頭をさげて去った。
私は自分の責任として同行者に迷惑をかけなくてよかったと、支配人の配慮と妻の一言に感謝しました。
翌日チェックアウトのときにホテル側は気がひけたのか「正規のお値段より割引させていただきます」
ホテル側は気が咎めたたのか、私たちは心の隅に引っかかるものを感じながら全員は観光を楽しみ帰宅しました。 |
あくる日から仕事に入り店の客人にこの話をすると大受けで、身を乗り出して「食事代は払ったのか」と聞かれるなど話題性の高い会話で、何れもホテル側の対応にずるさがあるとのご意見でした。
なぜ「予約されていません」と言わなかったのか。なぜ「よくある」ことなら「00ホテルのお間違いでは」とか電話でそのホテルに確かめなかったのか。それがホテルの良識ではないか。遠来の旅人にすることか。両方のホテルがうまくいけば利益を生む。業界のモラルが悪い。等々
こちらが酔って食事を平らげたころをみはらかってメモを差し出すとは、常習犯のように性質が悪いと腹がたってきた。3万円を取りにいきますと言った相手も明らかに変だ。こちらが頭を下げる必要がない。日本のシンボルである霊峰富士山に抱いていたイメージが、地元の姑息な人間たちのためにしぼんでしまった。
あの場合私たちが部屋に案内したフロントの対応を問題にして、「食べた食事代を支払う必要はない。文句があれば訴えろ」と移動することが、キャンセル料も不要で問題点が一番すっきりする。落ち着いて考えれば何も慌てる必要はないのに、5人にはまったくこの行動が思いつかなかった。
思いつかなかったのは5人が、こちらの落ち度で相手に迷惑をかけたという負い目を強く意識した善人だったのだろう。その上浴衣着でくつろいでいた時間帯での移動は気が進まない。荷物をまとめたり、食事代でひと悶着してちゃらにできても気分は悪い。われわれに負担がないのならと割り切りましたが、赤くなったり青くなったり、威されたり酔いを冷まされたりの、得がたい体験をしました。
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あとになって両ホテルの応対を勘ぐればいろいろ考えられますが、ちなみに住所や電話番号を伝えた渡辺さんは名古屋の自宅へは一度も電話をかけてない「留守番の娘の話」。
また。泊まったホテルの社員にも5人の渡辺さんがいて、妻たちが翌朝女性風呂に入っている時に外湯で入ってこられた地元の主婦の4人連れが「この辺は渡辺姓がとても多く私たちも4人のうち3人が渡辺です。」とのこと。またここの支配人は元はあちらに勤めていた由。
そのうち法律相談のできるテレビ番組に出演して、移動した後のたいらげてしまった食事代は払わなくてはならないのかどうか確かめたく思います。(笑う)それ以上に両ホテルが共同で善良な旅行者を脅して金銭を取ろうとしたことは腹立たしい。
うっかりは誰もが犯す可能性があるが、問題が生じた時は落ち着いて冷静に考えてみる良い体験をしました。もし妻がいなかったら、または夫婦だけの旅行だったら支払っていたでしょう。
元はと言えば幹事の私のチョンボで、m(_ _)m その愚夫をフォローしてくれた妻には深々と感謝し、筋の通らないことは頑とする性格に乾杯。(^!^)
1〜2月の平日泊まりはどこの宿でも空いていていて当日予約も利きますが、その分こんなハプニングもあるというおそまつな一席でした。 |